銅のエッチング加工

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1. 概要

銅や銅合金は、優れた導電性と熱伝導性を備え、さらに多くの優れた特性を持つため、私たちの日常生活に欠かせない電子部品や精密機器に幅広く使用されています。

銅は展延性が高く、銅薄板の精密部品も比較的容易に加工できるように感じられます。しかし切削などの刃物を使う加工では、粘りや熱伝導性が影響し「バリ」や「歪み」が発生する場合があります。そのため薄板の精密部品を製作する際は、銅の特性を十分に理解し、適切な加工方法を選ぶことが重要です。

エッチング加工は、化学薬品で金属表面を溶かして微細な形状を作り出す技術です。薄板材に余計な力がかからないため「バリ」や「歪み」がなく、高い精度と精密な仕上がりを実現できます。
本コラムでは、銅の種類や特性、エッチング加工のメリットについても詳しく解説していきます。


2. 銅の特徴

加工性と展延性

銅は柔らかく、自由に曲げたり引き伸ばしたりできる優れた展延性を持ち、機械加工での成形が容易です。この特性から、自動車部品や精密機械などの製造に適しており、精密なバネや微細メッシュの製造も可能です。ただし、切削等の際にはバリが発生したり、銅が刃先に溶着することがあり、加工時には注意が必要です。

導電性

銅は電気を効率的に通し、電気部品や回路基板に広く利用されています。また、銅製のシールドやメッシュは、電磁波や電波を吸収・反射する性質を持ち、外部からの電磁干渉(EMI)を防ぎます。

熱伝導性

銅は熱を素早くムラなく拡散させるため、放熱が重要な電子機器のヒートシンクや冷却部品に適しています。


3. 銅の種類

純銅

工業用に製造された純度の高い銅です。タフピッチ銅(C1100)、りん脱酸銅(C1220・C1221)、無酸素銅(C1020)の3種類があり、それぞれ酸素含有量が違います。これらは、優れた導電性・熱伝導性や耐食性を備え、電気配線や電子部品、ヒートシンク等の冷却部品として使用されています。

真鍮(黄銅)

銅と亜鉛の合金で、亜鉛の割合は20%以上です(C2600・C2680・C2720・C2801)。金色の外観が美しく5円玉の材料としてもおなじみです。加工性は高く、耐食性や強度にも優れています。バルブや配管、楽器、電子や機械部品として利用されています。

ベリリウム銅(ベリ銅)

ベリリウムと銅の合金で、熱処理によりバネ性や強度、導電性が向上し、強い弾力性を持つ部品の製作が可能です。特にC1720は、バネ性と強度のバランスに優れた材質です。ベリ銅は軽量で小型部品の製作にも適しており、高性能バネやコネクタ、電気機器用薄板部品などに広く使用されています。

りん青銅

銅にスズを加えた合金で、C5191やC5210がよく知られています。 摩擦や疲労に強く、ばね性や耐食性も高いことが特徴です。ばね性を活かし、電気や計測機器等のスイッチやコネクタ接点材料として使用されます。また時計や測定機等の精密機器の微細部品にも採用されています。


4. 銅薄板の加工方法

エッチング加工

精密写真技術を用いて金属薄板にパターンを転写した後に、エッチング液(薬品)を用いて腐食·溶解加工させ、任意の形状を作製する方法です。高精度で微細な形状の加工が可能で、工具に負荷がかからず、金属表面にストレスがかからないため「バリ」や「歪み」が発生しません。

etching

プレス加工

プレス加工とは、金属板に圧力をかけて形を変える方法です。精密かつ高速に部品を大量生産できるため、一般的に適しています。しかし、銅の粘り強さや高い熱伝導性のため、加工時にバリが発生しやすく、刃物の摩耗も早いという問題点があります。これにより、後処理や工具交換の頻度が増えるため、コストや手間がかかることがあります。

レーザー加工

レーザー光を金属に照射して溶かして切断する方法です。非接触で高精度な加工が可能ですが、銅の高い反射率と熱伝導性により、レーザーの効率が下がり、加工が難しい場合があります。熱影響による歪みなどが懸念され、加工条件の最適化が重要です。

切削加工

切削加工とは、旋盤やフライス盤などの機械で金属を削って形を作る方法です。銅の粘り強さと高い熱伝導性により、切削中にバリや歪みが発生しやすく、工具が詰まることもあります。銅薄板の加工では、他の方法が推奨されることが多くなります。


5. 銅エッチング加工のメリット

銅は柔らかく粘りがあり、熱に敏感なため、機械加工では熱で溶解した銅が刃物に付着し、性能低下や精度の悪化を招く課題があります。しかし、エッチング加工を用いればこの問題は解決できます。工具摩耗がなく、金属表面にストレスがかからないため「バリ」や「反り」も発生しません。

エッチング加工は、高精度で微細な形状を効率的に実現できるため、自動車や航空宇宙産業をはじめ、多様な分野で不可欠な技術となっています。

高精度・微細な形状の実現

精密な写真技術と薬品による腐食・溶解加工を組み合わせることで、高精度で微細な形状の加工を実現します。金属表面へのストレスがないため、「バリ」「歪み」が発生しません。

効率性

薬品を使って一度に多数の部品を加工できるため、生産効率が高く、大量生産にも適しています。

低コスト

イニシャルとしてのエッチング原版の作製は必要ですが、高価な治具や工具が不要です。プレスや切削などの加工方法と比べ、工具の摩耗や変形がないため、メンテナンスのコストが削減されます。

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6. エッチング加工事例

弊社では、銅薄板のエッチング加工によって、様々な精密部品を製作しています。 代表的な加工事例としては、安定した反発力を持つスプリング、電磁干渉(EMI)防止用のシールド、高精細メッシュ・フィルターなどがあげられます。

その他、光学用の絞り(黒処理加工有)や、ヒートスプレッダー、抵抗器・歪ゲージ、端子・電極(メッキ処理有)なども対応可能です

製品名材料
スプリング(板バネ)リン青銅
電波シールド純銅
メッシュ・フィルター真鍮
スペーサー純銅、ベリ銅、リン青銅

銅薄板のエッチング加工精度はステンレスと同等です。
またハーフエッチングやエッチング後の複合加工として、曲げ加工や黒処理等も対応いたします。

銅や合金の薄板加工に関するご質問やご相談がございましたら、 お気軽にメルテックまでお問い合わせ下さい。
TEL:04-7178-8800 E-mailinfo@e-meltec.jp

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