アルミニウムのエッチング加工

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アルミニウムのエッチング加工

アルミニウムは反射率が高いため、レーザー加工が困難であること、薄板材の場合は切削加工やプレス加工では精度を出すのが難しいことなど、加工において様々な難点があります。

そこで注目すべきは、薄板材であっても高精度な金属加工が可能なエッチング加工です。ここではアルミニウムのエッチング加工について、その特徴や他の加工方法との違いなど、メリット・デメリットを踏まえながら詳しく解説します。

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エッチング加工とは?

エッチング加工とは、エッチング液などの薬品によって金属を溶解・形成する加工方法です。加工形状をマスキングすることで防腐処理を施し、不要部分だけを除去する仕組みで、精密写真と腐食加工の応用によって誕生しました。

またプレス加工では不可能とされていた極小・極薄素材や、複雑形状製品の精度要求にも対応可能で、板厚が薄いほど高精度でシャープな仕上がりとなります。

さらに比較的安価で加工できる点や、設計変更・修正が容易に行える点など、コスト面におけるメリットも多く、試作品や小ロット生産に重宝される加工方法です。

アルミニウムをエッチング加工することで作られる製品

製品例:シム/メッシュ/ヒーター/フィルム箔の回路/エンコーダ用スケール

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アルミニウムという材質の特徴

ここではアルミニウムの特徴について詳しく解説します。

比重が軽い

アルミニウムの比重は2.7で、鉄や銅と比較すると約1/3程度と軽量です。

耐食性に優れている

アルミニウムは大気中の酸素と反応することで、表面に酸化皮膜を形成します。この酸化皮膜が保護層となり、腐食を防ぐ効果があります。

電気伝導率、熱伝導率が高い

アルミニウムは同じ重さの銅と比較すると約2倍の電流を通すことができます。また、熱伝導率は鉄の約3倍で、熱しやすく冷めやすい素材です。

磁気を帯びない

アルミニウムは磁気を帯びない金属で、非磁性体と呼ばれています。磁場の影響を受けないことから、医療機器や船舶の磁気コンパスなどに使用されています。

反射率が高い

アルミニウムには熱や光、電磁波を反射する特性があり、暖房器具の反射板や照明器具などに使用されています。また、アルミニウムの純度が高いほど反射率も高く、純度99.8%以上のアルミニウムは約90%以上の光を反射すると言われています。

リサイクル可能

アルミニウムは長期間使用しても劣化がほとんどなく、融点も低いため、使用後のリサイクルが非常に容易です。また、新品をつくる際の3%程度のエネルギーでリサイクル可能な上、品質も落ちません。

アルミニウムの種類

アルミニウムは添加する物質によって様々な種類があり、性質や用途が若干異なります。

1000番シリーズ

純度99.0%以上の純アルミニウムのことを指します。導電性や熱伝導性、耐食性には優れていますが、強度が低く構造部品には向いていません。用途としては1円硬貨や反射板、照明器具など強度を必要としない部材に使用されています。

2000番シリーズ

アルミニウムに銅(Cu)を添加した合金で「ジュラルミン」と呼ばれています。多量の銅を含むことで、強い強度を誇ります。しかし銅は酸化しやすい性質を持っているため、一般的なアルミニウムよりも耐食性では劣ります。ジュラルミンはその強度を生かし、航空機部品、自動車部品、その他構造用部品などに多用されています。

3000番シリーズ

アルミニウムにマンガン(Mn)を添加した合金で、純アルミニウムの耐食性を維持したまま、強度を向上させたものです。アルミ缶の材料をはじめ、屋根材、パネルなどの建築材にも使用されています。

4000番シリーズ

アルミニウムにシリコン(Si)を添加した合金で、耐熱性や耐摩耗性と言ったシリコンの特性を併せ持ちます。他のアルミニウムと比べて融点が低いため、溶加材やろう材として使用されています。

5000番シリーズ

アルミニウムにマグネシウム(Mg)を添加することで、耐食性や強度を向上させた合金です。加工性にも優れ、アルミニウムの切削加工材料としては最もメジャーな材料といえます。用途としては船舶や自動車など強度が求められる部品に使用されています。

6000番シリーズ

マグネシウム(Mg)とシリコン(Si)の両方が添加された合金で、5000番シリーズと比較すると耐食性や強度がさらに高いことが特徴です。押出加工性にも優れているため、Lアングルやチャンネルといった型材に使用されています。

7000番シリーズ

アルミニウムに亜鉛(Zn)とマグネシウム(Mg)を添加した合金です。熱処理を施すことで強度が増し、アルミニウム合金の中では最高強度の合金となります。その強度や耐久性から、航空機部品、自動車部品の他、スポーツ用具類など広い用途で使用されています。

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アルミニウムの薄板加工方法

ここではアルミニウムの薄板加工について、4つの加工方法とその特徴をご紹介します。

エッチング加工

冒頭でもご説明したとおり、エッチング加工は腐食作用を利用して加工物を溶解させ、任意の形状を形成する加工方法で、「バリ」「反り」などの発生がなく、高精度での加工が可能です。

エッチング加工を行う際に必要な原版の製作は、プレス金型と比較すると安価であり、複数を同時に加工することができるためコスト面でも非常にメリットがあります。

 

また、薄板材においても高精度での加工が可能であり、アルミニウムの薄板加工にも適した加工方法といえます。しかし試作~中量生産が最も生産性が高く、工数の問題から大量生産には向いていません。

切削加工

切削加工は、工具や加工物自体を回転させ、削ることで成形する加工方法のことで、旋削、フライス、穴あけなどいくつかの種類があります。

1つの加工に時間を要するため、試作品など小ロットの加工には向いていますが、量産には向いていません。また、加工する素材や板厚によって加工精度や難易度は大きく変化します。

薄板材の加工では、生じる熱によって加工物に「反り」や「ひずみ」が発生しやすく、高精度が求められる製品には向いていません。

プレス加工

プレス加工とは、プレス機と金型によって加工物を変形・せん断する加工方法です。

金型を用意する初期コストがかかりますが、量産性が高く、作業員による品質の差が生じにくいというメリットがあります。一方で量産を前提とした加工方法のため「バリ」や「反り」などの発生によって、高精度で加工することが難しいとされています。

薄板の金属加工には高い精度が求められるため、プレス加工では要求される寸法公差内に収めることが困難であり、注意が必要です。

レーザー加工

レーザー加工は、レーザー光によって加工物を融解させることで切断や穴あけを行う加工方法で、「バリ」や「反り」が出ない、金型を必要としないなど、数々のメリットがあり、薄板材の加工にも対応可能です。

しかし、レーザー加工はアルミニウムや銅など、反射率の高い素材を加工することは困難とされています。

 

理由としては、照射されたレーザー光の反射によって加工レンズや反射ミラーが破損してしまい、最悪の場合、レーザー加工機自体が壊れてしまう可能性があるためです。

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