産業用ロボットと位置検出

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産業用ロボットの概要

非接触需要や人材不足の影響を受け、近年では私たちの身近なところでもロボットを目にする機会が多くなりました。

製造現場では産業用ロボットの導入が急速に進み、重量物の運搬や高精度な組立作業など、ロボットが人間の代わりに作業を行うのが当たり前の時代です。また、人間と同じ空間で共同作業を行うことができる協働ロボットの登場など、活躍の場は多岐にわたり、ロボットに対する期待の高まりが伺えます。

本記事では、産業用ロボットを中心とする各種ロボットの種類や機能をはじめ、高精度なロボット動作に不可欠なエンコーダ装置についても解説します。

ロボットとは|ロボットを構成する3つの要素

ロボットとは「センサ系」、「知能・制御系」、「駆動・構造系」の3つの技術要素を持つ機械の総称です。

センサ系

目や耳など感覚器官にあたる部分で、外部の情報をインプットするための「外界センサ」、ロボット内部の状況を把握するための「内界センサ」の2種類に分類されます。

外界センサとしては光検出に使用されるフォトトランジスタや、音検出に使用されるマイクロフォンなど、内界センサとしてはモータの移動量や回転角度を検出するエンコーダなどがあります。

知能・制御系

頭脳や神経にあたる部分で、ロボットの全身をコントロールしています。開発段階のロボットは機能拡張の柔軟性に優れたパソコンを使用し、量産時には機能を限定したうえで省スペース化や低コストを考慮したマイコン(マイクロコンピュータ)に切り替えるのが一般的です。

駆動・構造系

手足や筋肉、骨格にあたる部分で、アクチュエータや動力伝達機構、アーム、移動機構など、様々なものが対象範囲になります。

中でも最も一般的に使用されるのはサーボモータやステッピングモータなど、いわゆる回転型電動式アクチュエータで、回転角度や速度の制御に優れていることからあらゆる場所に導入されています。

ロボットの種類

ロボットは「産業用ロボット」と「サービスロボット」の2種類に大別されます。

産業用ロボット

産業用ロボットとは、工場などの製造現場において人間の代わりにあらゆる作業を自動で行うロボットのことです。部品の積載や移動といったハンドリングに使用されるケースが多く、その他にも溶接、塗装、バリ取り、洗浄など様々な場面で活躍しています。

industrial robot

産業用ロボット導入のメリットとしては主に「人材不足の解消」、「人件費の削減」の2つが挙げられます。加速化する少子高齢化や、製造コストの多くを占める人件費問題など、製造業が抱える多くの課題を解決するためには欠かせない存在です。

サービスロボット

サービスロボットとは、人が行う動作や作業などを支援するロボットのことです。コロナ禍における非接触需要の影響で、受付ロボットや飲食店の配膳ロボットなど、私たちの身近なところでも急速に導入が進んでおり、一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。

service robot

産業用ロボットと構造上は同じでも、「産業の自動化」が目的ではない場合はサービスロボットとして扱われます。また、産業用ロボットと同様に、夜間・休日を問わず稼働してくれるため、人材不足解消や人件費削減という点が大きな導入メリットといえるでしょう。

多様化する産業用ロボットの種類

ここからは主に製造現場の自動化に用いられる産業用ロボットにフォーカスして解説します。産業用ロボットには様々な種類があり、用途に合わせて適切な選択が必要です。また、近年では「協働ロボット」のように、限られたスペースでも安全柵なしで設置できるロボットが注目を集めています。

垂直多関節ロボット

4〜7軸で稼働する最も汎用性の高い産業用ロボットで、人間の腕に近く自由度が高いことが特徴です。用途に合わせた開発も進んでおり、組立や塗装、ピッキングなどあらゆる現場で導入が進められています。

水平多関節ロボット(スカラロボット)

真上からの組立作業などに適したロボットで、水平方向に回転軸を2つ、垂直方向に直線軸を1つ持った3軸タイプが一般的です。近年では手首部分にも回転軸を備えた4軸タイプも主流になりつつあります。

パラレルリンクロボット

2本がセットになったアームを3対または4対備え、1つの先端を支持する構造のロボットです。軽量なアームでも十分な剛性を確保できることが特徴で、素早く正確な動作が可能なため、ベルトコンベヤにおける製品のピックアップなどに活用されています。

直交ロボット(単軸ロボット)

単軸直動のロボットユニットを組み合わせることで必要な動作を実現しているロボットです。用途に合わせて軸数を増やすことが可能であり、構造がシンプルかつ安価で設計自由度が高いことが特徴です。

協働ロボット

これまでの産業用ロボットは自動車や工作機械など、比較的大型の製造ラインに導入されることが多く、安全柵で人間との作業空間を明確に分けたうえで使用されてきました。技術の発展によってロボットの小型化が進み、安全柵なしでロボットと人間が共同で作業を行えるようになったのが「協働ロボット」です。

協働ロボット

産業用ロボットと位置検出

ここではロボットの動作制御を支えるエンコーダ技術について解説します。ロボットの需要拡大に伴い位置検出を担うエンコーダにも注目が集まっています。

エンコーダとは

エンコーダとは、センサが検出した位置情報を電気信号として出力する電子部品で、基本的にはモータと組み合わせて使用します。エンコーダによって、ロボットが動いた方向や距離を認識するため、動作制御にとっては不可欠な存在です。

また、近年ではロボットアームによる大型部品の高精度加工や、人間と協働ロボットが直接連携して行う位置決め作業など、より高精度な動作制御が求められるようになりました。

このように年々拡大するロボット市場においては、より高度なエンコーダ技術が必要であり、目的に合わせた多種多様なエンコーダが活用されています。

「エンコーダ」に関する詳しい解説はこちら

エンコーダとは?

エンコーダとは

エンコーダ用スケールとは、上記の位置検出センサ「エンコーダ」に組み込まれる部品です。垂直・水平方向の位置制御には「リニアスケール」、回転方向の角度制御には「ディスク(コードホイール)」が使用され、エンコーダの高精度な位置検出技術の中枢を担っています。

産業用ロボットには、レーザー光の反射によって対象物までの距離を測定する「LiDAR(ライダー)」と呼ばれる位置検出技術が導入されており、このLiDARに使用されているのがエンコーダおよびエンコーダ用スケールです。

ロボット需要拡大を背景に、位置検出技術を支えるエンコーダについても、小型化や省スペース化といった独自の要求が高まっています。それに伴い、エンコーダのキーデバイスともいえるエンコーダ用スケールに対する高精度化、カスタム化の動きも顕著に見られるようになりました。

メルテックではお客様のご要望に合わせたエンコーダ用スケールの受託加工を行っております。組み込み先に応じた材質やサイズはもちろん、小ロットから量産にいたるまで幅広い生産への対応が可能です。

「エンコーダ用スケール」の詳しい解説はこちら

エンコーダ用スケールとは?

 
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